牛モモ肉 =ランイチ+丸モモ(シンタマ)+内モモ+ 外モモ
と牛モモ肉は大きく4つの部位に分かれます。
この中でも特にカットに技術を要するのが、シンタマとランイチです。
このシンタマとランイチをいかにうまく使えるかで、売り場の商品品揃えに幅ができ、モモなのにやわらかく味のある商品で単価UPもねらえます。
ランイチはシンタマほど複雑なブロックではないのですが、大きな筋が肉のなかにあり、整形には一苦労です。
それでも、有名なランプステーキ、イチボステーキが取れる部位なので、きちんと捌けば、付加価値の高い商品となります。
ランイチ = イチボ + ランナカ + ランボソ + 端材
となります。
ランイチの体表側の脂肪は厚く、かなりの量です。
ステーキを取るためにはこれを除去していかなければなりません。
歩留まりが悪くなるため、売れ行きの悪い時期には、有る程度の筋・脂肪除去でとめておいて、まるごと切り落としにするのが良いでしょう。
ただし今日はステーキが高値で売れる!と判断した日は思い切って除去していきます。
こちら側は筋がびっしりと付いています。これを丁寧に除去していきます。
まずランプについているランカブリをはずします。
次にイチボ側についている筋を除去します。
ここまで筋・脂肪を除去すると、ランプとイチボの境目がでてきます。
包丁で少しずつ切れ目を入れながら、ランプとイチボを分割します。
上写真の左側がランプ、右側がイチボです。
体内側にうすく、お肉(ネクタイ)がついいるので、筋にそってはぎます。
ネクタイは、焼肉用になります(切り落とし材でも良い)。
次にランプをランナカとランボソに分割していきます。このランナカとランボソの分割は非常に難しいです。上記写真の真ん中あたりに筋が見えます。これに沿って分割していきます。
外国産の安いランプなどで経験をつんでいくとよいと思います。
写真左側がランナカ、右側がランボソです。
ランボソは非常にやわらかいので上質なステーキがとれます。
次にランナカを整形していきます。ランボソとの切断面の筋を引きます。
ランナカはイチボ側のほうにやっかいな筋が埋まっています。これをきれいに除去します。
あとは筋肉繊維にそって冊取りします。焼肉用でもミニステーキ用にもできます。
イチボのランプとの分割面の筋・脂肪を除去します。
イチボの写真右側はソトモモとの分割面です。こちら側はすこし固いので、スライサーでしゃぶしゃぶ用にカットしていきます。
しゃぶしゃぶ用にきれいに盛り付けます。
スライスしたのこりのブロックをイチボステーキとしてカットしてきます。霜降りもきれいで美味しいステーキになります。
イチボステーキ(希少部位)などで販売すると、お客さんの目を引きます。
*このブロックは、筋肉繊維の流れが変わる部分があるので、本来ならそこで冊取り方向を変えたほうがきれいな霜降りの断面になります。
モモ肉の中でも、このランイチと丸モモはとくに複雑です。ただしきちんと処理すれば、付加価値の高い提案ができます。
最近では、問屋さんがスーパーなどの小売店の要望で、小分割した状態
で真空したものを原料として納品しています。
スーパーでは、技術の無いパートさんでも包丁でかまぼこをカットする感じで、
商品化できます。
ただしこうした小分割され真空されたブロックはドリップでびちょびちょ
になっています。
真空袋をあけると大量のドリップが流れでます。
すでにお肉の味がほとんど失われている証拠です。